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投資信託の税金を理解するためには、投資信託での運用益は「利子所得」「配当所得」「譲渡所得」の3つの所得としてとらえられます。投資信託の種類や売却の方法によって運用益がどの所得に分類されるかが異なります。どのような場合にそれぞれの所得区分となるかを押さえておくと、証券税制を有効活用するのに役立ちます。


 公社債投資信託の分配金や解約時・償還時の収益は利子所得に区分され、預貯金の利息と同様20%の源泉分離課税が適用されます。株式投資信託の分配金は配当所得に区分されます。さらに、分配金のみではなく株式投資信託の解約・償還時の差益(個別元本超過額)も税制上は分配金と同様に配当所得に区分されます。

 投信税制では譲渡所得の扱いを知っておくことも大切です。例えば、株式投資信託を解約ではなく買い取り請求によって売却した場合の差損益は譲渡所得に区分されます。なお、解約・償還時の差損は譲渡所得です。


投信税制の主なポイント

 (1) 公募株式投資信託(公社債投資信託は含まない)の解約・償還時の差益(個別元本超過額)・分配金への課税は、上場株式の配当金と同様に配当所得として10%の軽減税率が適用されます(2009年4月から20%に戻る予定:2007年10月時点)。

 (2) 投資信託同士、投資信託と株式の間でも損益通算が可能です。なお、投資信託の分配金は株式の配当金と同様に、損益通算の対象外です(図表参照)。また、投資信託の値上がり益と株式の売却損を損益通算するには、投資信託を買い取り請求し、譲渡所得としたうえで確定申告する必要があります。譲渡所得には10%の軽減税率が適用されます。(2009年1月から20%に戻る予定:2007年10月時点)

 (3) 上場株式と同様に、株式投資信託の解約・償還および買い取り請求時の値下がり損は、翌年以降3年間の繰り越し控除が可能です(確定申告は必要)。

 なお、投資信託を特定口座に入庫すると、確定申告の手間を軽減することもできます。

申し込み時

 投資信託を買い付ける時点で『販売手数料』が発生します。これは、販売会社への対価です。買い付け代金の1~3%程度が目安ですが、無手数料(ノーロード)のものもあります。追加型公社債投資信託の代表的な商品、MMFやMRFは手数料をとりません。一般に株価指数連動型の投資信託の手数料は低めで、株式や債券で積極運用するものは高め、海外株や外債で運用する投資信託はさらに高めという傾向があります。加えて販売手数料に対する消費税が発生します。

 なお、一部の投資信託ではさらに『信託財産留保額』が加算されます。購入時に、基準価額に信託財産留保額を加算した販売基準価額が適用される投資信託が該当します。信託財産留保額は購入した投資信託に留保されるもので、販売会社や運用会社に支払うものではありません。


保有期間

 運用経費として信託財産から投信会社、販売会社、信託銀行に信託報酬が支払われます。信託報酬率は純資産の何%(年間)という形で決まっていますが、実際には日割り計算で日々の基準価額に反映され、引かれます。ファンドによって異なり、年0.2~2.5%程度です。信託報酬は『委託者報酬』と『受託者報酬』に区分されます。委託者報酬は投信会社に対する報酬で、さらにその中から『代行手数料』という名目で販売会社に半分程度が支払われます。受託者報酬は信託銀行に対する報酬です。

 複数の投資信託を組み入れて運用するファンド・オブ・ファンズの場合、ファンド・オブ・ファンズ自体の信託報酬に、組み入れ投資信託の信託報酬も加わるため、目論見書で実質的な信託報酬を確認する必要があります。

 その他、間接的に掛かる費用として有価証券売買の手数料や監査費用などがあります。投資信託の運用で生じる有価証券の売買手数料は信託財産からその都度、差し引かれます。その額は、期中の資金状況や運用状況により一定ではありません。監査費用は信託財産に関する監査証明を受けるための費用です。通常、年間0.01%程度以下で、日割り計算で日々計上され基準価額に反映されます。

 なお、分配金の受け取りに費用は発生しません。分配金を自動再投資する場合は、税引き後の分配手取り額で追加買い付けが行われることになりますが、通常、販売手数料は発生しません。


換金(解約)・償還時

 換金(解約)をする際に『信託財産留保額』を基準価額から控除される投資信託があります。信託財産留保額は、投資信託からの離脱者が投資信託にとどまる受益者に残していくペナルティーのような性格のもので、販売会社や運用会社に支払うものではなく投資信託に留保されます。「1口あたり何円」または「解約代金の何%」などという具合に、投資信託ごとに決められています。

 信託財産留保額はすべての投資信託に適用されるわけではありません。この留保金を取られるか否かは保有期間によることもあります。例えばMMFの場合、買付けから30日未満の解約に対して1万口当たり10円の信託財産留保額が取られます。

 なお、投資信託の換金(解約)時に販売会社に支払う換金(解約)手数料が発生する投資信託は少数です。 

株式投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があります。分配金のうち、課税対象となる部分を普通分配金、非課税となる部分を特別分配金と区別しています。具体的には分配落ち後の基準価額が個別元本(受益者の買いコスト)を下回った場合、下回った部分の金額は個別元本の払い戻しとみなされて非課税の特別分配金となり、分配金合計から特別分配金を差し引いた額が普通分配金となります(図表中の例を参照)。

 なお、分配落ち後の基準価額は普通分配金および特別分配金の合計分だけ値下がりします。また、特別分配金が支払われた場合、個別元本は分配された分だけ値下がりします。

分配とは、運用により得た収益の一部または全部を投資家(受益者)に還元することです。分配額は決算期ごとに決められ、投資家が保有する受益証券の口数に応じて分配されます。

 投資信託によっては、分配金を再投資できないもの、投資家が自動再投資か分配金を受け取るかを選択するものに分かれます。

 最近は分配金をキャッシュで実感できることなどから、毎月分配型に人気が集まっています。ただ、受け取る分配金には税金が発生するため、分配金を同じ投資信託に再投資する場合、その分投資効率が悪くなります。投資信託によっては運用効率を高める目的で分配を行わない投資信託もあります。


分配額の決定

 株式投資信託の分配額は、分配原資(経費控除後の繰り越し分を含めた利子や配当収入および、売買益など)の範囲内で基準価額の水準などを勘案し、運用会社が決算ごとに決定します。株式投資信託には、2004年1月から分配金に対する軽減税率(2009年3月まで10%)が適用されているため、1000円以上の高額分配を実施するファンドも目に付くようになりました。

 なお、MMFなどの追加型公社債投資信託は税法の関係から、元本を上回る収益すべてを分配し、分配後の基準価額は元本に戻すことになっています。

基準価額とは投資信託の時価のことです。基準価格とも表記されます。投資信託の資産総額(株式や公社債等の組入資産を時価評価したものなど)から、負債総額(運用経費や有価証券の買付代金の未払金等)を差し引いたものを純資産総額といい、その純資産総額を総口数で割った値として基準価額が算出されます(図表中の基準価額の算出方法を参照)。


基準価額の公表日

 投資信託は日々価格が変動する有価証券(株式や債券等)で運用するため、基準価額も日々変動します。国内で設定された投資信託の場合、運用会社が営業日ごとに投資信託に組み入れている資産を時価評価し、基準価額を1日1回算出・公表しています。

 追加型株式投資信託については、前日の基準価額が日本経済新聞の翌日朝刊 (毎週火曜日から土曜日までの毎日) に掲載され、一部の単位型投資信託は毎週木曜日の基準価額が土曜日に掲載されています。なお、NIKKEI NETの「投資信託サーチ」では、すべての追加型株式投資信託の当日の基準価額が平日22時から24時の間に更新されます。


基準価額の算出適用日に注意

 投資信託の売買代金は基準価額をベースにします。このとき、いつの時点の基準価額が適用されるかには注意が必要です。例えば日本株で運用する投資信託の場合、午後3時までに申し込みの手続きが完了した分は申し込んだ当日の夜に算出される基準価額が適用されます。また、外国株や外債で運用する投資信託は時差の関係で翌営業日の夜に算出される基準価額――というように投資信託によって基準価額の適用日が異なります。

 なお、基準価額の表示単位は通常1万口あたりですが、1口1万円で募集された投資信託など、1口あたりで表示されるものもあります

リスクを直訳すると「危険」を意味しますが、投資の世界では「予想どおりにならない可能性、不確実性」を指します。「予想より損をする」不確実性だけではなく、「予想より儲かる」不確実性も含まれます。投資信託は、株式や債券など、価格が変動する有価証券で運用されるため元本は保証されず、リスクを伴う金融商品です。


ハイリスク・ハイリターン

 一般に、リスクが大きいほど期待される収益が高く(ハイリスク・ハイリターン)、リスクが小さいほどリターンが低い(ローリスク・ローリターン)関係にあります(図表「リスクリターン・イメージ」参照)。投資信託を選ぶときには、どの程度のリスクをとることが可能かを見極めることが重要です。


リスクの種類

 リスクは様々ですが、すべて投資信託の基準価額の変動に影響します。組み入れ証券価格の変動(価格変動リスク)や、債券の発行体が破たんする可能性(信用リスク、デフォルトリスク)、金利動向の債券価格への影響(金利変動リスク)などがあります。海外の株式や債券に投資する投資信託は、為替相場の変動による為替変動リスクや投資先の国の信用度(カントリーリスク)にも注意が必要です。目論見書には、このようなリスクを並べた「投資リスク」が記載されています。

 基準価額の過去の値動きの大きさを示すリスク尺度は、一般に価格変動リスクと呼ばれ、一定期間の騰落率の標準偏差をもとに計算されます。


分散効果

 投資信託自体は分散投資(図表「分散投資のイメージ」参照)により価格変動リスクを抑えていますが、リスクの大小は投資信託により異なり、主に投資対象が大きく影響します。

株式投資信託と公社債投資信託

 まず、日本国内で設定された投資信託(国内投資信託)は、株式などを組み入れることができる株式投資信託(株式投資信託)と、公社債(債券)のみで株式を一切組み入れず運用する公社債投資信託(公社債投資信託)に大別されます。ただし、実際には債券のみで運用していても、株式を一部組み入れることが可能と定めているタイプは、制度上、株式投資信託に分類されています。例えば、外債で運用する毎月分配型の投資信託の多くは、公社債投資信託ではなく株式投資信託です。公社債投資信託の代表例は、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)や長期公社債投信です。


追加型と単位型

 次に、株式投資信託と公社債投資信託はそれぞれ、いつでも購入可能な追加型(オープン型)と、最初の募集のときのみ購入が可能となる単位型(ユニット型)に分けられます。株式投資信託のうち、いつでも購入可能なタイプが追加型株式投資信託と呼ばれています。単位型には、同じ商品性の投資信託を定期的に(毎月など)募集するタイプ(定時定型)と、市場動向にポット型)に分かれます。

投資対象や運用方針のチェック

 投資信託の運用内容については、まず投資対象や運用方針をチェックしましょう。これらは目論見書(もくろみしょ)でも確認することができますが、運用会社のホームページで探ることも可能です。投資対象や運用方針が似ている投資信託もありますが、個々の投資信託は千差万別。投資信託の数だけ異なる(追加型株式投信だけでも約2500本もあります)といっても過言ではありません。


純資産残高のチェック

 次にチェックしたい点は純資産残高です。純資産残高が減って10億円程度まで落ち込むと、運用成績にかかわらず繰り上げ償還される可能性もあるので、注意が必要です。特に、残高が著しく減り続けている投資信託は、運用面でも支障が出てきます。残高の状況は運用会社が公表する運用レポートなどで確認できます。また、NIKKEI NETの「投資信託サーチ」でも過去1年間の推移がグラフで表示されます。


過去の運用成績のチェック

 過去の運用成績も重要なチェック項目です。様々な角度から投資信託がどのような成績をおさめているかを確認するほか、同じようなタイプの投資信託同士を比較するのも有効でしょう。NIKKEI NETの「投資信託サーチ」では過去1年間(直近月末時点)の騰落率である累積リターン1年を投資信託協会が定義する分類ごとに比較できます。ベンチマーク(運用目標とする指数)が設定されている場合は、ベンチマークとの対比でファンドの成績をみることも重要です。運用レポートの多くではベンチマークの成績も記載されています。


リスク要因のチェック

 そして肝心なのが投資信託のリスクです。目論見書にはファンドのリスクについて記載されているので、必ず確認しましょう。例えば、外国債券に投資する投資信託の目論見書では、基準価額の主な変動要因として、為替変動リスク、債券の信用リスク、金利変動リスク、債券の価格変動リスク――などの記載があります。


コストのチェック

 最後にコストです。販売会社に支払う申込手数料は投資信託購入時にかかる費用ですが、信託報酬は投資信託の運用経費として運用資産から日々差し引かれます。例えば、保有年数が5年で年率2%の信託報酬の場合は、5年間で概算10%(5年×2%)のコストがかかることになります。投資信託のリターンがこのコストを上回ることが期待できなければ、購入する意味はなくなります。また、解約時にもコスト(信託財産留保額)を徴収する投資信託がありますので、目論見書などで確認しておきましょう。

少額で購入できる

 個人が株式や債券に投資する場合、まとまった資金が必要になりますが、投資信託は少額での投資が可能です。例えば、株式を購入するには、通常は最低でも数十万円の資金が必要ですが、投資信託は1万円前後から購入できます。株式は銘柄毎に売買単位が決まっており、多くは1000株単位。この場合、仮に1株の値段が100円でも最低購入価格は10万円となってしまいます。


株式や債券などに分散投資

 投資信託の最大の魅力は、資金を特性の異なる金融商品や複数の銘柄、さらには地域などに分け、分散投資ができることです。一般に分散投資には、リスク(価格変動のブレ具合)を低減しながら、より高いリターン(収益)を狙える、という効果があります。


専門家が運用

 個人が投資に必要な知識やノウハウを身につけ、情報を収集するには限界があります。投資信託は、情報収集から投資対象の決定、株式や債券等の銘柄選びなどを、運用の専門家であるファンドマネージャーに任せることができます。


値下がりリスクはあるがリターンも期待

 利息が限定される銀行預金とは異なり、投資信託では値上がり益が期待できます。その半面、元本割れするリスクもあります。

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金をひとつにまとめ、専門家が運用する金融商品です。ファンドという言い方もします。銀行預金より高い利回りが期待できる半面、元本を割り込む可能性もあります。

 投資信託の運用は運用会社に委託され、販売は証券会社や銀行などの販売会社が、資産の管理は信託銀行がそれぞれ担います。3つの会社が分離・独立している点が特徴です。万が一、運用会社、販売会社、信託銀行のいずれかの会社が経営破綻したとしても、運用資産は分別保管されているので、投資家の資産の安全は確保されます。

販売会社

 販売会社は、投資信託の募集、分配金や償還金の支払い等を行う投資家の窓口です。従来は証券会社が独占的に投資信託を販売していましたが、1998年12月からは銀行や生命保険会社、2005年10月からは郵便局(現ゆうちょ銀行)の窓口でも購入できるようになりました。


運用会社

 運用会社(委託会社)は、投資信託の商品性や運用の方針などを決め、信託銀行(受託会社)への売買指図を通じて資金の実質的な運用を行います。投資信託の運用成績は、運用会社の運用担当者(ファンドマネジャー)などの腕にかかっています。


信託銀行

 信託銀行(受託会社)は、投資信託の運用資産(信託財産)を保管・管理する会社のことです。運用会社からの指図に基づき、株式や債券等の売買を行います。

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